イケガミコフ『21世紀の生存戦略』

新卒外資コンサルからIT企業社長となった著者が、自身の備忘も兼ねて日々の心境を綴るブログ。なるべく毎日更新。読者の皆さんと一緒に21世紀を生き抜く力をつけていくのが目的です。左脳的切り口で右脳的題材でも取扱うことを特徴として、世の中の出来事から、その裏にある時代性を読み解いていければと思います。その上で、時代性に合う生き方、新しい生きる力を提案し、自らも実践したい。なかでも、個人が個性を発揮して生きることをメインテーマに据えたいと考えています。

2013年03月

『絶望の国の幸福な若者たち』

絶望の国の幸福な若者たち
絶望の国の幸福な若者たち [単行本]

読んでみた。

26歳の青年が書いたもの
としては、見事と言う外ない。

前半から中盤にかけては、
文献の引用や調査結果
の羅列が続き、

現代の若者像が
若者の定義から丁寧に
描かれる。

終盤ではそれらの総括と
これからの時代の若者
に関わる論点が提示される。

著者の考えは、
終わりが近づくにつれ
徐々に明らかになる。

 ★ ★ ★

本書のエッセンスとしては
概ね以下のようなものだ。

・現代の若者は多様であり
ひとくくりには論じられない

・若者は内向きだけれど、
一方で、社会貢献したくて
ウズウズしている

・連帯する口実として
「日本」の重要性は高まっているが、

・ナショナリズムを利用することは
あっても、目的化すべきではない

・日本史上最大の殺人事件は
太平洋戦争であり、被告は日本だ

・若者にとって、
原発反対などのデモは
絆や自分の居場所を実感する
ためのお祭り

・だから、それらを感じることが
できたらすぐに冷めてしまう

・震災でさえも、祭りとして
片づけられそうになっている

・万能と思われるネットも
原発直後の危険度を知るには
何の役にも立たなかった

(おいしいレストランを知るのとは
わけが違っていた)

・祖父母と孫では、1億円の格差がある

・それでも、WiiやPSPのない
過去の時代に生まれたいとは思えない

・承認欲求は、ツイッターやニコ動で
手軽に満たせる

・日本は女性に替えて、移民では無く
若者を二級市民にしたてた

・カーストの中の若者
という身分として捉えると、
そのうち全国民が若者身分になる

・明治の日本にとっては
産業革命の方が市民革命よりも
パクりやすかったのでは

・だから、工業化はしたけど
民主化はしなかった

・現在の政治制度と
若者の関心の無さからして
世代間格差はなくならない

・日本が侵略される、と聞いても、
だから、何?と思う

・昔の価値観に拘らなけば
若者にとっての「現在」は、
そんなに悪い時代じゃない

・ただし「未来」は現在よりも
不透明で、危険。

 ★ ★ ★

忙しい人は、
巻末の佐藤健さんとの対談
だけを読んでも面白い。

それから、個人的には
「あとがき」も良かった。

もちろん「あとがき」から
そう発見は無かったけど、

自分の考えとの距離が近く
自分が若者を名乗ることが
許された気がして嬉しかった。

全体的にファクチュアルで
客観的なところは、
文献としては良いのだろうが、

私は終盤の総括や、
佐藤さんとの対談、あとがきなど、
主観的なところを楽しんだ。

「日本史上最大の殺人事件は
戦争であり、被告は日本」

というような戦後史観の
若者が書いた若者論だからこそ
本書は価値があると思うし

それゆえに、
客観的なデータよりも
主観的なメッセージに注目
したのだと思う。

もちろん、自虐史観など
相入れない部分もあったが、
それはそれでよいのだ。

私も仕事柄、
その道何十年の専門家と
お話することが多いが、

コンサル時代のように、
ファクトとロジックだけで
 バリューを出すことには
限界を感じている。

そんな時、
自分の世代を代表する
体験や感性に頼ることは多い。

そういう意味では、
本書の立場には親近感を覚えるし、

前半から中盤にかけて
やたらとファクトベースの
若者論が多いことも合点がいく。

私自身、
若者代表の肩書きを借りて
持論を展開する時には、

果たして持論が

全くの個人的なものなのか、
若者の完成や体験を多少でも
代表できているものなのか、

不安でたまらないことがあるからだ。

この本を読んだ今
これから先は、
多少でもそこに線が引けそう
なところは嬉しい。

 ★ ★ ★

ところで、こういう類の本は、
私たち読者の側が
「何のために読むのか」が難しく、

漠然と読むと
「へぇ」を積み重ねて
読み終えてしまうものだ。

もちろんそれでも構わないが、
例えば、

この本から読み取れる若者像から、
若者に刺さるサービスやコンテンツの
有りようを考えよう

などと、テーマを決めて読むと
吸収する効率が上がる。


私の場合だと、

この本から読み取れる若者像から、
次世代の中等教育の
有りようについて考えよう

でも良いかもしれない。

明確なテーマを持って読むと、
必ず何らかの発見がある一冊だと思う。

仕事や育児などで、
若者を相手にしている全ての方に
おすすめしたい。


『断捨離』を読んで、人生に役立つ4つの原理

新・片づけ術「断捨離」
新・片づけ術「断捨離」 [単行本]

今さら読んでみたのは理由がある。

物事を決断することと、

部屋を片づけること

には関係があると
思ったからだ。

決めることは、
片をつけることのはずだ。

(※本書の題名だけは
知っていたが
内容は全く知らずに読んだ)

結果、
決めることと
部屋を片付けることは
大いに関係があった。

それどころか、
自我の維持・強化にまで
踏み込んだ話であった。

基本となっているで
あろう考え方と、
印象的なフレーズを
いくつか引用していきたい


1. 引き算は足し算より大切

“足し算の生活から引き算の生活へ”

こんな例が紹介されている。

季節の変わり目に
「着る服が無い!」
と騒いでいる私たち。

タンスの中には
ほとんど着ない服が
びっしりつまっている。

・・・確かにその通りだ。

著者曰く、
そこにあるのは

「『愛着』ではなく、『執着』」

だそうで、そのせいで、

「あるのにない」
「ないのにある」

という状態に
陥ってしまっているそうだ。

私たちは、

無駄なものがある
ことによる負の効果

を見逃しがちである。

さらに、
「『捨てない損』に目を向ける」
とあるが、

「決めない損」についても
同じことが言える。

選択肢を持ちすぎること
で決められなくなる。

あえて、
自分の退路を絶つことで、

腹が据わり、
ものごとがうまくゆくこと
は多い。

「モノが勝手にやってくる」
今の時代においては、

必要なものを
手に入れることより、

余分なものを
捨てることの方が大事だ。

自分という彫刻を
をつくっていくような
イメージでいると良い
のかもしれない。



2. 加点法(ポジティブ評価)で考える

“モノは使ってこそ価値がある”

皆さんの家の中にも、
ここ1年の間に
一度も使っていないモノ
って意外とありませんか?

なぜとってあるのか?

とりあえずとってある
場合が多いと思う。

しかし本来、
使わなければ捨ててもよい
わけだし、

1.の原理の通り、
余分なものがあることは

本当に必要なものに
目を向ける上では
むしろマイナスである。

この
とりあえずとっておいた
ものが無駄になる
傾向は、

仕事や恋愛でも起こり得る。

長時間労働を繰り返して
つくった書類が
結局、不要になったり、

相手のことを
本当に好きでなくても
一緒にいたり。

良く考えれば、
これほど無駄なことはないし、
相手にとって失礼なことはない。


なぜこんなことが起きるのか?


それはきっと、
減点法のせいだ。

本来は、

捨てる理由が無い場合は
とっておく

のではなく、

使う理由がある場合のみ
とっておく

べきだ。

とっておくものは、
消極的に決めるのではなく
積極的に決める。

減点法は足きりにはなるが、
優先順位をつけきれない。


では、実際に
加点法で物事を評価する
にはどうしたら良いか?

こちらは次の原理に譲ろう。



3. 自分との関係性で選ぶ

“主役は「モノ」ではなく「自分」”

モノを
加点法で選ぶ際は、

そのモノが
絶対的に必要かどうか
では無く、

自分にとって
相対的に適合するか

で判断するのだという。

教育や職業観にも
大いに役立つ考え方だ。

思えば本書の題名だけは
知っていたが
内容は全く知らずに読んだ。

私の推しメンである
スピノザの倫理観とも近い。

また、この
「『モノと自分との関係性』
を軸にモノを取捨選択」する
という考え方は

現代のコンテンツ消費の
有り方にも通じる。

つまり、私たちは、
空間よりも
より厳密な資源である
『時間』については

既に少なからず
絶対性よりも
関係性により
資源配分を決めている。



4. 「今」を基準に考える

“時間軸は常に「今」”

加点法でモノを
選択できたとしても、

「いつか使うはず」
と考えると捨てられない。

3年後、5年後など
日付が入っている未来と、
「いつか」
というのは決定的に違う。

「いつか必要になるもの」は
その時にまた
手に入れればよい

くらいに思って
捨ててしまったほうが良い。

複雑性が増し、
未来予測が
困難な現代においては、

イマの重要性は
確かに増していて、

この考え方は
非常に現代的だと感じた。

また、
こういうフレーズもあった。

“ココロが行動を変えるのではなく、
行動がココロに変化をもたらす”

よし、
明日から
この考え方を徹底
して生きよう!

などと考えても
抽象的すぎて
何をすればよいのか
わからない。

だから
部屋を片づけるところ
からはじめるのだ。

これも決定論でなく
確率論の現代に
相応しい考え方と思う。


 ★ ★ ★

いっとき話題になった
「断捨離」。

時機を逃したからといって
やらないのは勿体ない。

いつやるか?









 

「『両論併記』と『非決定』」

日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)
日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 (新潮選書) [単行本]

読んでみた。

本書は、
大東亜戦争開戦前の
日本政府における
開戦の意思決定プロセスを
詳しく紹介している。

そこからの示唆は
3行だとこんな感じ。

 ↓  ↓  ↓

各組織が並列に設置されていたため
組織間の調和が優先されるあまり
全体最適が実現されなかった。

1行で表すなら、

 ↓  ↓  ↓

タテ割りヨクナイ

 ★ ★ ★

もう少しkwsk書くと、
こんな具合だろうか。

 ↓  ↓  ↓

陸軍「中国で戦ってるから予算くれ」
海軍「アメリカと戦うかもしれないから予算くれ」

首相「石油の輸出止められた」
\(^o^)/

陸軍「よっしゃ、海軍!
南方から奪い取ったれ」

海軍「((((;゚Д゚)))))))
いや、それは・・・
(アメリカと戦争なんて無理やで)」

陸軍「俺らは中国と戦っとんねんぞ。
アメリカがなんぼのもんか知らんけど、
たまには戦わんかい」

海軍「うぇーん、総理ー!
助けてよー!」
つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..

総理「・・・
・・・
・・・
俺、辞めるわ」

陸海軍「!!」
ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!




新総理「今日から、俺が総理な。
まず、外交努力せな」

陸軍「いいけど、外交あかんかったら
戦争な(戦うのは海軍やし)」

外相「交渉行ってきます
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン」

陸軍(アメリカが絶対のめん条件
入れとこう)

外相「アメリカは、
日本が中国から撤退しろ
言うてます」

海軍「よし、陸軍が中国から撤退して
解決だな(´▽`)」

陸軍「アホか。俺らの
血と汗、涙の成果、
捨てられるわけないやろ。
お前がアメリカと戦争してこい」

海軍「せ、戦争はアカンて(震え声」

陸軍「まあ、海軍が
アメリカには絶対勝てません、
って言うなら考えたってもいいで」

海軍「!!」

海軍「か、勝てなくはないわ。
3年目以降はわからんけどな」

陸軍「じゃ、戦えよ」

海軍「お、おう」

 終 わ り

 ★ ★ ★

ちょっと違う部分もあるけれど
流れとしては概ね上記の通りかと。

タテ割りの利益代表者が
責任を押しつけ合った結果、

展望なき戦争という悲劇を
引き起こしたもよう。

この類の本を読むと良い点は、
 
言葉で表すと当たり前だが、
具体的な話を追って追体験してみると、
実際には結構難しい!

ってことがわかることだ。

開戦前夜の日本では

首相
陸相
海相
参謀総長
軍令部総長

議題によって、
外相
蔵相
企画院総裁
などで

意思決定することが
多かったみたい。

それで皆が拒否権
を持っていたら

確かに、
重要なことほど決まらないのも
無理は無い。

 ★ ★ ★

リーダーシップ不在のもとで
セクショナリズム同士が
ぶつかると、

部分最適を足し合わせたような

非(避)決定
または、
両論併記

もっと酷い場合には、
全部やりますという
幕の内弁当

的な解になりがちだ。

これは、
何も開戦前夜の日本だけでなく、

現代の組織でも
起こることだ。

決めた結果は、
議論が紛糾する
くらいのほうがいい。

会議や何かで結論が出たら、
全員にとってa
あまりにも心地よい答えに
なりすぎていないか、

チェックするようにしたい。


『社長は少しバカがいい』

社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則
社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則 [単行本(ソフトカバー)]


読んでみた。 

以下、引用部分は特に注記ない限り
本書からの引用。

社長にとって、最後に頼りになるのは自分の直感なんだ
ホラも本気で吹けば、現実になる


コンサルの真逆。

直感というのは
理屈に比べたら
比較的経験がものをいうので

若い経営者にとっては、
認めたくない要素かもしれない。

でも、社会に出る前の経験が
血肉になっているかで大分違う。

社会人歴10年でも、
人生30年分をフル活用できていれば、
社会人歴30年しか活用できていない人に

勝てる。

どれだけ血肉にできているかの
インプット・アウトプット効率が
人によってそれぞれ10倍
つまり、かけあわせて
最大100倍違うとしたら

時間は誤差みたいなもんだ。

だから経験じゃない。

私は
どれだけ自分らしい人生を
選択し続けているかだと思う。

自分らしい人生、
一本筋の通った人生を
自然体で歩み続けている人は、

人生の全部が血肉となって
目の前の成果に活きる。

誰よりもその領域では
直感が

当たる。


また、同書では、
リーダーの器というものを
考えさせられた。

大将が元気でニコニコして、平気な顔をしてたら、たいていはうまくいくんだ

リーダーシップの形は
ひとつでは無いと思うが、 

泰然自若は必須と感じる

思えば私自身、

その時々で師事してきた
リーダーの安定感に救われた
ということが少なくない。

これは自分が逆の立場になって
実際にやろうとしたら
もの凄く難しいことだ。

ぶれないこと。

そういえば、
秋元康先生の

止まっている時計は1日に2度、正しい時間を示す

という言葉は有名だ。


ぶれないことが、
正解よりも大事なことは
実は多い。


これもコンサル時代には
想像もしなかったことだ。


理屈と言うのは、
いろいろな組み立て方が可能だ。 

前提が変われば結論も変わる。

直感が大事というのも、
実はそういうことなのかもしれない。 

理屈じゃなく、
はじめっから、自分が信じた道を進む。

信じたのだから、最後までやり抜く。 


この本は、

理屈の世界からやってきた私にとっては
とても刺激的な本だった。

これをアンチテーゼとして
新しいステージに進んでゆきたい。


5月17日にビジネス書発売!
自己紹介
ユーゴスラビア生まれ。理工学部を卒業後、A.T.カーニーに入社。様々な業界のコンサルティングを手がけた後、エブリスタ立上げに携わり、同社代表取締役社長に就任。15年3月末に退任し、現在はメディア企業のデジタル戦略コンサルを手がける。グロービス経営大学院「ネットビジネス戦略」講師。
このブログについて
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