※前回に引き続き,地下アイドルについて
 
<2. 消費者参加型サービスが満たすニーズ>

こうしたステージは,ステージ上の女の子にとっては,
ハレとケで言うところのハレの場である
 
終わらない日常(つまりハレとケのケ)が心を蝕む現代社会においては,
国民的なスターのような大きな夢はさておき,
もっと必要に迫られて,ハードルの低い活動としての
「地下アイドル」志望者が増えているように感じる

僕らの学生の頃,
(それが例え文化祭の後夜祭であったとしても,)
ステージに立つことは一部の人気者の特権であった
 
それが今は,フツーの女の子が,
ディアステージのような場所で働いたり,
友達と共同でダイニングバーのステージを借し切ったり,
ニコニコ生放送をしたりして,もう少し手軽に「アイドル」を楽しんでいる
 
ステージの上の彼女達は本当に爽快そうである


 
一方で,実は今回も注目したいのは観客席の方である
観客席が統一的な振り(ヲタ芸)で
熱狂的な盛り上がりを見せることについては既に書いた通りで
 
「ミックス」と言われる猛々しい掛け声も相まって,
はじめは宗教的な不気味さすら感じる

「この人たちは,洗脳されているのでは」
「ちゃんとした日常を送ってるのだろうか」
など余計な心配すらしてしまう
 
でも,見ているこちら側もすぐにすがすがしい気分になるのは,
彼らの笑顔があまりに爽快そのものだからだ

こんなにイマを満喫している人を見ることは
ココ以外にないだろう,とさえ思える

ステージがアイドルとファンの合作であることは前回述べた通りだが,
観客席の彼らにとっても,このステージはハレの場なのだろうか
 
YESと感じさせるのは,観客として共にステージをつくる
彼らの秩序と自由のバランスの巧みさからだろう

彼らの打つヲタ芸の統一感は確かに宗教的な秩序を感じさせるが,
その中には絶妙なバランスで「遊び」も含まれているのだ
 
例えば,コーラスの合間に「おーれーの誰々」などと入る合いの手,
前の人の肩を持って渦を作るなどその曲だけの特殊な振り,
MCの間での観客の笑いを誘うツッコミやイジリなど

こうした,観客間・演目間での秩序を微妙に崩した自由な場が,
観客とした参加する彼らに「自己表現」の余地を与える

リアルにおいて彼らが個性を謳歌する場が無い
と見るのは穿った見方だとしても,ステージを立つまでの覚悟はなくとも,
その一翼を担うことで存分に自己表現を果たしているかに見える
 

 
消費者参加型のサービスにおいては,
コアカスタマーとの一体感を生み出す秩序は重要な要素であろう

一方で,秩序ある中でも彼らが自己表現できる余地を残す
ことがポイントとなるようだ