※前回に引き続き,地下アイドルについて
 
<3. 運営にとっての「会いに行けるアイドル」の意味合い>
 
これまでの2回の記事で,
ファンにとっての魅力が「ともにステージをつくれる」点にあること
それが強固なロイヤリティを形成していることについて触れた

「会いに行けるアイドル」が運営側へ齎す効果は,ほかにもある
 
 
 
―カウンター「FREE」としての「LIVE」
 
「会いに行けるアイドル」ははじめ,
恐らくは後ろ向きな背景から登場したのではないか

デジタルコンテンツと異なり,生のステージは
同じ演目であっても一回一回が別のサービスとなる
(既に述べたように,消費者参加型のステージとなっている
ことも,それに大いに寄与している)

デジタルコンテンツが「FREE」に向かっている中で,
労働集約的であることを許容してでも,
ライブの「リアル」な体験を売るしかなくなった,という側面があって,
必要に迫られて登場したのではないか
 
 
 
―バイラルな広がり

ところが,こうした事情で生まれたリアルとの連動は,
サービスがバイラルな広がりを見せるうえで,
想定外のプラスの効果を生んでいるようにも思える

ネットによるデジコンの「FREE」化により
リアルを取り入れ(ざるをえなかっ)たことで,
皮肉なことにネットにプラスの効果を還元したのだ

ネットは,その低コストと情報伝達の即時性から,
旧来のマスメディアに比べて「生」の情報に強い媒体である

年に一回,完璧なパフォーマンスが行われるのではなく,
(もし学芸会レベルであっても)毎日違うパフォーマンスが行われることで,
ネットで飛び交う情報量は増える

「今日のライブ後の握手会で,○○が髪を下していた」など,
コアなファンから発信される情報が,じわじわと広がっていくことになる

ファン以外には意味が分からない情報でも,
世の中に拡散していけば,気になる人は覗いてみるようになる

こうしたバイラルな広がりは,
言うまでもなく近年のソーシャルメディアの浸透により
そのインフラが整ったものだ
 

 
―コミュニティの結束

さらに,ソーシャルメディアがそのように
ライトなファンの獲得に大きな役割を果たした一方で,
コアなファンの結束を高めて行く上では
リアルなコミュニティが大きな貢献を果たした

1回目から紹介している「ディアステージ」
のようなカフェ併設のステージに行くとわかりやすい

カフェでの常連さん同士の挨拶は
「お,今日は遅かったね」というレベルに親しい

つまり,彼らの「帰ってくる場所」がそこにあり,
そこには迎える仲間がいて,メイド喫茶の有名なフレーズ
「お帰りなさいませ」を地で行っているのだ

こうしたコミュニティは,
ある程度の閾値以上はリアルでしか成立しないものだろう


 
⇒このように「会いに行ける」アイドル発展の背景には,
ファンの獲得から定着化まで,
ネットとリアルの巧みな連携プレーが成立している