「順番にご案内しますので、
こちらのお部屋でお待ち下さい」

整ったルックスの人事部のお姉さんが
僕たちに微笑んでいた。

社会人になったら、
こんな風に自然な笑顔が必要に応じて
作れるようになるのだろうか。

社会で生きていく上では必要なことだとしても
それって、いいことなのだろうか。

そんなことを考えている場合ではなかった。

「失礼します」

先頭の子が面接の部屋へと入っていく。
自分は3番目だった。

考えてきたとおりに話せるだろうか。

これまで、それなりの数の
面接をこなしてきた。

受け応えにも慣れてきて、
第一志望の会社とはいえ今日は
それほど緊張もしていないはずだ。

先週は自己分析を行う
ワークショップにも参加した。

これまで周りの人間に聞いてみて言われた、
「鈴木は人柄がいい」
ということを具体化して考えて、

学生時代のエピソードについても
その根拠となるような形に再構築した。

少なくとも、1次のグループ面接よりは
うまく話せるはずだ。

「ありがとうございました」

先頭の子が出てきた。
自分は2番目になっていた。

*このエピソードはフィクションであり、
実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。 


このエピソードは、
鈴木くんの視点で書かれています。

仮にこれが、面接官の視点だったら、
どんなことがあり得るでしょうか。


(さすがに徹夜明けの面接はコタえる)

田中は襲ってくる睡魔と戦いながら、
徹夜よりも用意された弁当に
迂闊にも手を出してしまったことを
悔いていた。

(昨日の徹夜は身から出た錆だしな。

学生には関係ないことだから、
何とか頑張ろう)

何とかやる気を絞り出す。
目の前では、真面目そうな学生が
一生懸命、
覚えてきたフレーズを暗唱している。

彼らにとっては一生ごとだから、
面接官として一瞬の油断もならない。

「サークルの副代表をしていまして、

リーダーが割と我が道を行くタイプだったので
私がメンバーとの間の潤滑油となりまして」

(それにしても・・・)

一体、いまの大学には、
どれだけ副代表がいるのだろう。

書類選考で副代表しか
通過させてないのではないか、
と思うほどによく聞く話だった。

たまにそうでない話があるとしても、
ビジネスコンテストで優勝した話か、
留学して大変だった話である。

(まあ、自分が学生の頃も、
こんな感じだったのかもな・・・)

「最後に、何か質問はありますか?」

目の前の学生の評価をあらかた固め、
最後に田中が聞く。

「はい!

御社のセミナーに伺った際、
代表の斎藤さんが、

『日本中のすべての人を
クリエイターにする!』

とおっしゃっていて、
それにすごく共感したのですが、

具体的にどうやって
それを実現していこうと
されているのですか?」

「ありがとうございます。

そうですね・・・」

*このエピソードはフィクションであり、
実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。
 

さすがにこんな極端な人間は
いないかもしれませんが、

ありえない話ではないと思います。

このように、物語の主語が変われば、
つまり視点が変われば、

見える景色はガラリと変わります。

小説では、一人称、つまり、
僕とか私とか、俺とかを主語にするもの
の他に、三人称のものがあります。

三人称でも
単視点だったり、多視点だったり、
神視点だったりします。

実際のビジネスや生活の場面においても、
多視点や神視点で考えてみる、
というのは非常に有効です。

今回の事例では、
面接官の視点で考えてみるほか、

面接会場にはいない、
この会社の社長の視点や、
神の視点というのもあるはずです。

神の視点というのは
考えるのは少し難しいですが、

「僕」がその会社に入ることが、
神様(または社会全体、人類全体)
にとってベストかどうか?
ということですね。

車の運転をする人は、
バックで車庫入れするときや
縦列駐車をするとき、

後ろを直接見て運転するよりも、
 
車を真上から見ながら
ラジコンのように車を操作できれば
遥かに楽だと思いますよね。

振り返って華麗にバックするのは
モテ仕草かもしれませんが、
事故るかもしれません。

ひとつの方向に気を取られていると
思わぬところを擦ってしまったり
するものです。

同じように、見ている景色が
「グーグルストリートビュー」だと、
思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

常にグーグルマップや、
場合によってはグーグルアース
を見るようにした方がいいです。

幽体離脱したつもりで、
もうひとりの自分を見るように、

俯瞰した「神視点」で
自分を見ることを試してみてください!



59
(googleストリートビュー)
※事故の危険あり 

04
(googleマップ)
※事故の危険低

23
(googleアース) 
※事故を事故と思わない??