イケガミコフ『21世紀の生存戦略』

新卒外資コンサルからIT企業社長となった著者が、自身の備忘も兼ねて日々の心境を綴るブログ。なるべく毎日更新。読者の皆さんと一緒に21世紀を生き抜く力をつけていくのが目的です。左脳的切り口で右脳的題材でも取扱うことを特徴として、世の中の出来事から、その裏にある時代性を読み解いていければと思います。その上で、時代性に合う生き方、新しい生きる力を提案し、自らも実践したい。なかでも、個人が個性を発揮して生きることをメインテーマに据えたいと考えています。

リーダー論

(続)昭和天皇独白録に見た、優れたリーダーの5要件

昨日の記事からの続きです。



昭和天皇独白録 (文春文庫)
昭和天皇独白録 (文春文庫) [文庫]

 

3.本質を捉える

同書の聞書の中で、
昭和天皇が様々な出来事に対して
鋭く本質をついていることに驚いた。


例えば、

日米戦争は油で始まり油で終わつた様なものである(同書)

ここからさらに
なぜ石油の輸入を止められたのか?
へと考察は及ぶ。

それから、開戦に向かっていく
当時の日本の状況を評し、

陸軍は主戦論で押し通してゐるが、
海軍の方で、どうしても戦は出来ぬと云ふ事ならば
強いて戦はせぬといふ肚である。

海軍は戦は出来ぬ事はないが
二年以后になると、
戦は戦術、戦略の問題でなく、
財政経済の国力の問題となるのだから、
和戦の決定は総理大臣に一任するという肚である。

(同書)

とあるが、
これは以前の記事、


にまとめた通りの内容だ。

さらに昭和天皇は、
敗戦の原因として、

情報不足、
精神主義への傾倒、
陸海軍の不一致、
リーダー不在の4点を挙げている。

特に、リーダー不在については、
「第一次大戦の独国の如く」
と述べておられて、


にまとめた通りである。

これくらいの理解は
当たり前と思うかもしれないが、

後世の歴史家が後々分析して
述べている構造的な問題を、
終戦の1年後にズハリ
言ってしまっているのだ。

このような本質を捉える能力は
リーダーに必須であろう。


4. 主戦場を決める

 
同書では、
三国同盟に反対だった昭和天皇が、

その締結を巡って秩父宮殿下や
板垣陸軍大臣と衝突したこと
なども触れられているが、

誰と組んで誰と戦うかは、
リーダーが采配を揮うべき
重要な事柄だ。

それは即ち、
どこを主戦場とするか
ということでもある。

同書聞書きの後半部分には、
どこを防衛するかについて
意見を述べている場面もある。

また、
主戦場を決めることに付随して、
資源配分の問題がある。

これについても、例えば、

石原莞爾が、
対ソ連に兵力を割く余り、
上海の兵力が手薄に
なっていることに対して
増強を督促した

という話が出てくる。

どう戦うか?ではなく、
 
どこで誰と戦うか?

そのために、

どのように資源を配分するか?

を考えられることが、
リーダーの第4の要件であると思う。


5. ビジョンを示す


これについては、
同書から学ぶことは難しい。

同書では昭和天皇が
戦前から終戦にかけて
どのようなビジョンを描いていたのか
は論じられていないし、

もしかしたら、昭和天皇は、
『立憲政治下に於る立憲君主として』
ビジョニングは内閣に任せていたの
かもしれない。

しかし、
敢えて5つ目として、
ビジョンを示すこと
を掲げたい。

結果として、当時の日本に
しっかりとした展望が無かった
ことはよく指摘されていることで、

きっとそうだったろうと思う。

四方八方に戦線を拡大した
日本には、
 
ドイツ統一に向かって
それ以外の無駄な戦いは
しなかったビスマルクのような
ビジョンはなく、

セクショナリズムがあった
だけだったと思われる。

其々のセクションでは
それなりにビジョンを持った
リーダーが登場するが、

組織構造上、
国家のリーダーが不在
(首相も各大臣や統帥部の長と並列!)
であるため

それが長続きしないか、
統一した国策とならない。

その様子は同書でも
くっきりと描かれている。

そこで5つの要件の最後に
反面教師として、

ビジョンを示す力を
付け加えておきたい。


昭和天皇独白録に見た、優れたリーダーの5要件

昭和の日(旧天皇誕生日)に因んで

昭和天皇独白録 (文春文庫)

昭和天皇独白録 (文春文庫) [文庫]

を読んでいたら、

参考)昨日の記事:『昭和天皇独白録』


ちょうど先週、書いていた

ドイツ参謀本部の崩壊―求められるリーダーとスタッフの絶妙なバランス

とも関連して、

優れたリーダーのあり方
を考える上で
大変参考になることが
多かったので、

書き留めておきたい。

※なお、くどいかもしれないが

この聞書自体は、
昭和天皇が終戦の1年後に
語ったものを記録したものであり、

戦前・戦時中、リアルタイムでの
昭和天皇の判断の妥当性とか
リーダーとしての適格性とか
そういったことを
検証したいわけではない。

其れとは関係なく、
リーダーの思考法として重要な点
を教えてくれると考えている。

1.哲学を貫く


昭和天皇は、臣下に
「政治は憲法を基準にしてやれ」
と指導する一方、
自らも立憲君主国の元首である
という立場を貫いたようだ。

また、同書では、
徹底して条約違反を嫌う
昭和天皇が、ドイツとの単独不講和を
確約した以上それを守らざるを得ず、
それが後々まで尾を引いたことなど
も記されている。

短期的には良し悪しあるものの、
自分が何を重んじる人間かを知り、
その姿勢を貫くことで、

最終的には救われることが
多いように思う。

自らの哲学を貫くことは
優れたリーダーの要件だろう。

2. 人を見る


反対に、自らが其の哲学を貫く以上、
他者を見る目も自然とそうなる。

相手が何を重視する人間かを知り、
敵味方を見極める。

「どうしても梅津か畑を大臣にするようにしろ。たとえ陸軍の三長官が議を決して自分の所にもってきても、自分にはこれを許す意志はない。(『西園寺公と政局』、同書中で引用)
このような人を総理大臣にしてはならぬと思ふ(同書)

この時、リーダーが最も嫌うのは
自らの哲学を貫けない人物だ

板垣は完全に軍の「ロボット」となつて終わつた(同書)

小磯は私が忠告するとすぐに云ふ事をきく。それでゐて側から云はれる直ぐ、ぐらつく。つまり肚もなく自身もない(同書)

など、昭和天皇の評も厳しい。

昭和天皇が
具体的に意見を述べられる事は
稀だったようだが、

人事については意外なほどに
意見を述べておられたようだ。

この話を書きながら、
昔、ジャック・ウェルチの自伝を
読んだ際に、

GEが後継社長を選ぶ際に
もの凄い時間と労力をかけること、

社長の仕事のかなりの部分は
アサインメントであること、
と書いてあったことを
思い出した。


人を見て、人を選び、
適材適所に置く力は、

リーダーにとって大変
重要な能力だ。


 ★ ★ ★

明日へつづきます



天皇陛下からの信任厚かった米内光政
画像:wikipedia




 

『断捨離』を読んで、人生に役立つ4つの原理

新・片づけ術「断捨離」
新・片づけ術「断捨離」 [単行本]

今さら読んでみたのは理由がある。

物事を決断することと、

部屋を片づけること

には関係があると
思ったからだ。

決めることは、
片をつけることのはずだ。

(※本書の題名だけは
知っていたが
内容は全く知らずに読んだ)

結果、
決めることと
部屋を片付けることは
大いに関係があった。

それどころか、
自我の維持・強化にまで
踏み込んだ話であった。

基本となっているで
あろう考え方と、
印象的なフレーズを
いくつか引用していきたい


1. 引き算は足し算より大切

“足し算の生活から引き算の生活へ”

こんな例が紹介されている。

季節の変わり目に
「着る服が無い!」
と騒いでいる私たち。

タンスの中には
ほとんど着ない服が
びっしりつまっている。

・・・確かにその通りだ。

著者曰く、
そこにあるのは

「『愛着』ではなく、『執着』」

だそうで、そのせいで、

「あるのにない」
「ないのにある」

という状態に
陥ってしまっているそうだ。

私たちは、

無駄なものがある
ことによる負の効果

を見逃しがちである。

さらに、
「『捨てない損』に目を向ける」
とあるが、

「決めない損」についても
同じことが言える。

選択肢を持ちすぎること
で決められなくなる。

あえて、
自分の退路を絶つことで、

腹が据わり、
ものごとがうまくゆくこと
は多い。

「モノが勝手にやってくる」
今の時代においては、

必要なものを
手に入れることより、

余分なものを
捨てることの方が大事だ。

自分という彫刻を
をつくっていくような
イメージでいると良い
のかもしれない。



2. 加点法(ポジティブ評価)で考える

“モノは使ってこそ価値がある”

皆さんの家の中にも、
ここ1年の間に
一度も使っていないモノ
って意外とありませんか?

なぜとってあるのか?

とりあえずとってある
場合が多いと思う。

しかし本来、
使わなければ捨ててもよい
わけだし、

1.の原理の通り、
余分なものがあることは

本当に必要なものに
目を向ける上では
むしろマイナスである。

この
とりあえずとっておいた
ものが無駄になる
傾向は、

仕事や恋愛でも起こり得る。

長時間労働を繰り返して
つくった書類が
結局、不要になったり、

相手のことを
本当に好きでなくても
一緒にいたり。

良く考えれば、
これほど無駄なことはないし、
相手にとって失礼なことはない。


なぜこんなことが起きるのか?


それはきっと、
減点法のせいだ。

本来は、

捨てる理由が無い場合は
とっておく

のではなく、

使う理由がある場合のみ
とっておく

べきだ。

とっておくものは、
消極的に決めるのではなく
積極的に決める。

減点法は足きりにはなるが、
優先順位をつけきれない。


では、実際に
加点法で物事を評価する
にはどうしたら良いか?

こちらは次の原理に譲ろう。



3. 自分との関係性で選ぶ

“主役は「モノ」ではなく「自分」”

モノを
加点法で選ぶ際は、

そのモノが
絶対的に必要かどうか
では無く、

自分にとって
相対的に適合するか

で判断するのだという。

教育や職業観にも
大いに役立つ考え方だ。

思えば本書の題名だけは
知っていたが
内容は全く知らずに読んだ。

私の推しメンである
スピノザの倫理観とも近い。

また、この
「『モノと自分との関係性』
を軸にモノを取捨選択」する
という考え方は

現代のコンテンツ消費の
有り方にも通じる。

つまり、私たちは、
空間よりも
より厳密な資源である
『時間』については

既に少なからず
絶対性よりも
関係性により
資源配分を決めている。



4. 「今」を基準に考える

“時間軸は常に「今」”

加点法でモノを
選択できたとしても、

「いつか使うはず」
と考えると捨てられない。

3年後、5年後など
日付が入っている未来と、
「いつか」
というのは決定的に違う。

「いつか必要になるもの」は
その時にまた
手に入れればよい

くらいに思って
捨ててしまったほうが良い。

複雑性が増し、
未来予測が
困難な現代においては、

イマの重要性は
確かに増していて、

この考え方は
非常に現代的だと感じた。

また、
こういうフレーズもあった。

“ココロが行動を変えるのではなく、
行動がココロに変化をもたらす”

よし、
明日から
この考え方を徹底
して生きよう!

などと考えても
抽象的すぎて
何をすればよいのか
わからない。

だから
部屋を片づけるところ
からはじめるのだ。

これも決定論でなく
確率論の現代に
相応しい考え方と思う。


 ★ ★ ★

いっとき話題になった
「断捨離」。

時機を逃したからといって
やらないのは勿体ない。

いつやるか?









 

「『両論併記』と『非決定』」

日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)
日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 (新潮選書) [単行本]

読んでみた。

本書は、
大東亜戦争開戦前の
日本政府における
開戦の意思決定プロセスを
詳しく紹介している。

そこからの示唆は
3行だとこんな感じ。

 ↓  ↓  ↓

各組織が並列に設置されていたため
組織間の調和が優先されるあまり
全体最適が実現されなかった。

1行で表すなら、

 ↓  ↓  ↓

タテ割りヨクナイ

 ★ ★ ★

もう少しkwsk書くと、
こんな具合だろうか。

 ↓  ↓  ↓

陸軍「中国で戦ってるから予算くれ」
海軍「アメリカと戦うかもしれないから予算くれ」

首相「石油の輸出止められた」
\(^o^)/

陸軍「よっしゃ、海軍!
南方から奪い取ったれ」

海軍「((((;゚Д゚)))))))
いや、それは・・・
(アメリカと戦争なんて無理やで)」

陸軍「俺らは中国と戦っとんねんぞ。
アメリカがなんぼのもんか知らんけど、
たまには戦わんかい」

海軍「うぇーん、総理ー!
助けてよー!」
つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..

総理「・・・
・・・
・・・
俺、辞めるわ」

陸海軍「!!」
ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!




新総理「今日から、俺が総理な。
まず、外交努力せな」

陸軍「いいけど、外交あかんかったら
戦争な(戦うのは海軍やし)」

外相「交渉行ってきます
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン」

陸軍(アメリカが絶対のめん条件
入れとこう)

外相「アメリカは、
日本が中国から撤退しろ
言うてます」

海軍「よし、陸軍が中国から撤退して
解決だな(´▽`)」

陸軍「アホか。俺らの
血と汗、涙の成果、
捨てられるわけないやろ。
お前がアメリカと戦争してこい」

海軍「せ、戦争はアカンて(震え声」

陸軍「まあ、海軍が
アメリカには絶対勝てません、
って言うなら考えたってもいいで」

海軍「!!」

海軍「か、勝てなくはないわ。
3年目以降はわからんけどな」

陸軍「じゃ、戦えよ」

海軍「お、おう」

 終 わ り

 ★ ★ ★

ちょっと違う部分もあるけれど
流れとしては概ね上記の通りかと。

タテ割りの利益代表者が
責任を押しつけ合った結果、

展望なき戦争という悲劇を
引き起こしたもよう。

この類の本を読むと良い点は、
 
言葉で表すと当たり前だが、
具体的な話を追って追体験してみると、
実際には結構難しい!

ってことがわかることだ。

開戦前夜の日本では

首相
陸相
海相
参謀総長
軍令部総長

議題によって、
外相
蔵相
企画院総裁
などで

意思決定することが
多かったみたい。

それで皆が拒否権
を持っていたら

確かに、
重要なことほど決まらないのも
無理は無い。

 ★ ★ ★

リーダーシップ不在のもとで
セクショナリズム同士が
ぶつかると、

部分最適を足し合わせたような

非(避)決定
または、
両論併記

もっと酷い場合には、
全部やりますという
幕の内弁当

的な解になりがちだ。

これは、
何も開戦前夜の日本だけでなく、

現代の組織でも
起こることだ。

決めた結果は、
議論が紛糾する
くらいのほうがいい。

会議や何かで結論が出たら、
全員にとってa
あまりにも心地よい答えに
なりすぎていないか、

チェックするようにしたい。


『社長は少しバカがいい』

社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則
社長は少しバカがいい。~乱世を生き抜くリーダーの鉄則 [単行本(ソフトカバー)]


読んでみた。 

以下、引用部分は特に注記ない限り
本書からの引用。

社長にとって、最後に頼りになるのは自分の直感なんだ
ホラも本気で吹けば、現実になる


コンサルの真逆。

直感というのは
理屈に比べたら
比較的経験がものをいうので

若い経営者にとっては、
認めたくない要素かもしれない。

でも、社会に出る前の経験が
血肉になっているかで大分違う。

社会人歴10年でも、
人生30年分をフル活用できていれば、
社会人歴30年しか活用できていない人に

勝てる。

どれだけ血肉にできているかの
インプット・アウトプット効率が
人によってそれぞれ10倍
つまり、かけあわせて
最大100倍違うとしたら

時間は誤差みたいなもんだ。

だから経験じゃない。

私は
どれだけ自分らしい人生を
選択し続けているかだと思う。

自分らしい人生、
一本筋の通った人生を
自然体で歩み続けている人は、

人生の全部が血肉となって
目の前の成果に活きる。

誰よりもその領域では
直感が

当たる。


また、同書では、
リーダーの器というものを
考えさせられた。

大将が元気でニコニコして、平気な顔をしてたら、たいていはうまくいくんだ

リーダーシップの形は
ひとつでは無いと思うが、 

泰然自若は必須と感じる

思えば私自身、

その時々で師事してきた
リーダーの安定感に救われた
ということが少なくない。

これは自分が逆の立場になって
実際にやろうとしたら
もの凄く難しいことだ。

ぶれないこと。

そういえば、
秋元康先生の

止まっている時計は1日に2度、正しい時間を示す

という言葉は有名だ。


ぶれないことが、
正解よりも大事なことは
実は多い。


これもコンサル時代には
想像もしなかったことだ。


理屈と言うのは、
いろいろな組み立て方が可能だ。 

前提が変われば結論も変わる。

直感が大事というのも、
実はそういうことなのかもしれない。 

理屈じゃなく、
はじめっから、自分が信じた道を進む。

信じたのだから、最後までやり抜く。 


この本は、

理屈の世界からやってきた私にとっては
とても刺激的な本だった。

これをアンチテーゼとして
新しいステージに進んでゆきたい。


5月17日にビジネス書発売!
自己紹介
ユーゴスラビア生まれ。理工学部を卒業後、A.T.カーニーに入社。様々な業界のコンサルティングを手がけた後、エブリスタ立上げに携わり、同社代表取締役社長に就任。15年3月末に退任し、現在はメディア企業のデジタル戦略コンサルを手がける。グロービス経営大学院「ネットビジネス戦略」講師。
このブログについて
▼新卒外資コンサルからIT企業社長となった著者が、自身の備忘も兼ねて日々の心境を綴るブログ▼なるべく毎日更新▼読者の皆さんとご一緒に、私自身も「21世紀を生き抜く力を」つけていくのが目的です▼「左脳的切り口で右脳的題材も取扱う」ことを特徴に、世の中の出来事からその裏にある「時代性」を読み解いていければと思います▼その上で時代性に合う生き方、新しい生きる力を提案し、自らも実践していきます▼なかでも「個人が個性を発揮して生きる」ことを中心テーマに据えたいと考えています。
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ